韓国人におまかせの1ヶ月 -Ajou University 留学記-

工学系研究科都市交通研究室修士2年・佐藤航貴


温かく迎えられた1日目

2024年10月。工学系研究科の「海外武者修行プログラム」に参加した私は、夏休みが明けてすぐに韓国・水原市にあるAjou UniversityのExplainable Mobility Intelligence Labに向かいました。ソウルから電車で1時間ほどの距離を、日本でダウンロードしていた韓国の鉄道アプリを駆使して向かっている道中、研究室メンバーから「車で迎えに行くから別の駅に来て」と連絡が。すぐにアプリで検索をすると、来た路線を戻るルートが表示されており、慌ててその場で下車して折り返しました。慣れない地での急な乗り換えに少し手間取りながらも、なんとか指定された駅に到着すると、研究室メンバーの多くがサプライズで迎えにきてくれており、温かい歓迎を受けました。

その後一度研究室に訪れてから、大学構内を案内してもらいました。自分がとても驚いたのは大学の全ての棟に駐車場がついていたことです。韓国では大学生の車での通学率が高く、僕の友達も毎朝ソウルから高速道路に乗って通学しているそうです。

それから夜ご飯に連れて行ってもらい、宿まで送ってくれました。

研究室メンバーのホスピタリティのおかげで、1日目にしてとても居心地の良さを感じられました。これからの1ヶ月の生活への期待を胸に、Ajou Universityでの1ヶ月間の留学が始まりました。

1日目の夜ご飯。スケトウダラが有名なお店だがタコの餃子がとても美味しい

論文執筆で忙しい10月

今回のプログラムで最も挑戦的だったのは、研究室メンバーと英語で意見を交わしながら論文を共同執筆したことです。10月末の提出期限までわずか2週間という限られたスケジュールの中で、互いの専門分野の共有から始まり、実験の設計や考察、文章表現に至るまで多くの議論を重ねました。それぞれの強みを生かし、時に折衷案を模索しながら、最終的に一つの成果物としてまとめ上げることができました。日頃から研究報告は英語で行っているものの、より解像度の高い内容について多くの意思決定を要する作業は想像以上に負荷の高いものでした。それでも、意見がまとまった時の達成感はとても心地よいものでした。

研究室のHPなので、一応研究内容についても触れておきます。私は集団の意思決定メカニズムをテーマに、意思決定に影響を与える要因や意思決定パターンの分類に関する研究を行っています。留学中はAjou Universityの教授をはじめ、複数の大学の教授や生徒の前で自身の研究の発表をし、様々なご意見をいただきました。AIの研究に従事する方々から、普段とは異なる視点からのアドバイスをいただき、自身の研究方針や手法を見直す貴重な機会となりました。

10月は論文を執筆しながら、延世大学と漢江大学への訪問、ソウルでの講演聴講といった予定も詰め込まれており、あっという間に過ぎ去っていました。

韓国の文化を堪能した11月

研究以外の時間は自由な時間だったので、1人で観光をしました。特に11月以降は論文を提出し終わったこともあり、のんびりと休日を過ごすことができました。大学がある水原市には水原華城という世界遺産の城があり、まちの一部が城壁で囲まれています。城壁の上は歩けるようになっていて、夜には城壁がライトアップされ、とても幻想的な景色になります。その景色がとても気に入り、1人で城の周りをぐるぐるしていたので城壁の周りに行きつけのお店が何店かできました。次に水原市に行く時にまた訪れようと思います。

水原華城の城壁

またありがたいことに、研究室メンバーが休日も一緒に遊んでくれました。実家に連れて行ってくれたり、地元の他の友達と引き合わせてくれたりしてくれました。カラオケによく行きましたが、全員驚くほど歌が上手かったです(韓国人みんなそうなのか、、?)。

最後の週には龍仁市というところにキャンプに連れて行ってくれました。みんなで僕のために肉を焼いてくれて、僕が手伝おうとすると「韓国人におまかせ」といって手伝わせてくれませんでした(ちなみに「おまかせ」はなぜか韓国でも通じます笑)。この日の夜が韓国での一番の思い出になりました。

焼肉を焼いてくれている研究室メンバー

自分は元々韓国の文化が好きなのですが、研究室メンバーのおかげで韓国の食、歴史、人柄、都市など、様々な文化についての理解が深まり、これまでより一層韓国が好きになりました。

終わりに

今回は交通研の先生方、Ajou Universityの先生と研究室メンバー、その他多くの方のおかげで大変貴重な経験をすることができました。特に研究室メンバーには大変お世話になりました。大きな問題なく1ヶ月を過ごすことができたのはみんなのおかげです。

今回の留学を研究面においても交流面においてもより意味のあるものにできるように、これからも励んでいきたいと思います。

最終日の研究室にて