説明会:4月15日(月)・19日(金)|12:20 – 12:50 @ 1114号室


今、都市工学科で交通を研究する意義は何でしょうか。

これまでになく人と人とが繋がり合う時代。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、Uber・LyftなどのTransportation Network Companies、Mobility as a Service、自動運転といった革命的技術の先例なき発展。交通は近年、工学や都市計画の中で最も急激に変化を遂げている分野の1つです。

これらは近い未来に我々の生活を劇的に変えるかもしれません。その変化とはどのようなもので、私たちに何をもたらすのでしょうか。少子高齢化や人口減少の中で暮らしやすいまちを実現し、環境問題などの課題に立ち向かうために、在来の交通技術や交通計画の技法とともに、新しい技術をどう活かせばよいのでしょうか。

都市や社会の課題を解決し、まちがめざす価値を実現するうえで、交通の計画がなすべき貢献は多大なはずです。都市交通研究室では、人の繋がりや移動・活動を切り口としてその答えを探りながら、研究を進めています。


なぜ交通研?

◆都市と交通のあるべき姿を追求したい

まちの目標を実現するための都市と交通のかたちとしくみについて、定量的な分析を踏まえて検討しています。そこに交通が関連する限り、我々が対象とするのは狭い意味での“交通”施策にとどまりません。

◆人のアクティビティと行動をより深く理解したい

計画や施策を適切に組み立てるうえで、人が何を考え、行動をどう決定し実行しているのかを理解することは重要です。当研究室では活動と交通行動の調査・分析を通じてこのテーマに取り組んでいます。

◆よりよい都市交通計画とその実践のあり方を考えたい

総合的な都市交通計画のよりよいあり方を求めて、国内外の先進的な制度・計画・実施事例の収集と蓄積を行っています。交通と土地利用の統合的計画の立案と実施の有り様に、特に関心を持っています。

◆専門知識以外で身に付けることのできるスキル

プログラミング、データマイニング、ビッグデータ分析、質的分析・量的分析、おまけで国際コミュニケーションと英語。

主な研究テーマ

  • 自動車利用の少ない都市空間構造の評価と計画
  • 柔軟な公共交通システムと地域空間構造の統合的な評価・計画手法
  • 災害時の避難行動分析と避難所配置計画
  • マルチスケール物的環境評価「歩行環境・住環境等」
  • 自動運転の普及と都市構造への影響
  • 物的環境・モビリティ手段保有と交通行動への影響
  • Shared mobilityと交通行動への影響
  • ソーシャルインタラクションと移動・活動パターンの分析
  • 若者の自動車保有及び交通行動の変化
  • 交通まちづくりの新しい計画手法の開発と適用
  • 都市圏交通計画の交通戦略の構築手法
  • 「まち」の目標に貢献する都市交通計画を支える制度・政策・計画事例

先輩たちの声

“私が都市交通研究室を選択した理由は、自分で研究テーマを決め、そのテーマにとことん向き合うことができる環境に魅力を感じたからです。都市の中に無数に存在する課題の中から、自分が何を明らかにしたいのかを考える。その際、最も大事になってくるのは、「なぜそのテーマに取り組むのか」について自分自身で考えることです。その答えは誰かから与えられるものではありません。自分の頭で考え、悩み、そして議論をしていくなかで、だんだんと頭の中で整理されていき、最終的に自分なりの一つの答えになっていくものだと思います。しっかり悩み抜いたからこそ、そのテーマに強い意志をもって取り組めると思うし、また先生方もそのテーマに対して全力で向き合ってくださるのだと思います。都市交通研究室は「自分は何を研究したいのか」をとことん考えたいという強い思いを持っている方を待っています。”

田村祐貴(修士課程2年)

 

”論じて,悩んで,考えて,遊んで,忘れて,論じて.そんな毎日を送って,あっという間に卒業の日を迎えて.でも,研究室に入る前より,ちょっとだけ成長して.
もし,人の生活とか,人生とか,そもそも人,人間像とは,ということに関心を持ったとすると,色々な領域にまたがって,一つ一つピースを集めていく作業をするんだと思います.自分の信念があれば,不安や孤独よりも,期待やパッションのようなもので,突き進む意思が出来てくると思います.でも,信念はまだぼんやりしているかも,と思う時は...
昔からの友達とか,別の領域の友人もそうだけど,身近なところに拠り所がある方が,きっと楽しく研究ができるはずです.研究室の先輩たちは,どんなタイプの人でも,居心地の良い距離で,優しく包んでくれると思います.”

駒沢行賓(博士後期課程3年)

 

”テーマも手法も、最後に選ぶのは自分ですが、研究室という一つのチームの中で、支えあって研究を進めて行くことができます。具体的なツールや手法については、使用経験のある先生方や修士・博士課程の先輩からサポートを受けることができます。また、研究室メンバーでテーマを決めて開催する勉強会である「輪講」や、大学院の授業などで身につけることもできます。
私自身も修士課程の時に、研究手法として「人と乗合タクシーのシミュレーション」を使いたいと思い、「社会シミュレーション」をテーマにした輪講を、同期のメンバーや学部生と一緒に開いて勉強しました。さらに、研究室メンバー以外にも、研究に関連する民間企業の方と議論したり、学会で知り合った方と共同研究したりする機会もあります。”

藤垣洋平(2018年博士後期課程修了)